エニアグラム:3タイプのセンター
エニアグラムは9タイプの分別を基本に、他にも色々とバラエティ豊かな区分けの方法があります。
その一つが、今回解説していく「センター」……つまり中枢ですね。
この「センター」は、言ってしまえばそれぞれのタイプの一番力を秘めており、一番強い反応が出る部分。
言わば、心の中枢部分です。
センターは主に3つのグループに分かれており、それぞれ
・本能グループ(腹中枢)
・フィーリンググループ(感情中枢)
・思考グループ(思考中枢)
に分別されます。
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本能グループ「まさにハートの赴くままに」
本能グループは本能や習性、つまり、自身の直感や感情といったものを重要視するタイプで、言わば「体で感じるタイプ」ですね。
体というのは予想以上に大きな力を秘めているもので、このグループはそんな「体」とバイパスが強く繋がれています。
そのため、特に直観力や決断力に優れる事が多く、割とどっしり構えていて腹の据わったタイプが多いです。
そんな本能タイプの潜在的な感情は「怒り」。
自分のペースを重んじ、それを確立することで充実感を得るタイプですが、自分のペースや存在を脅かされることに対しては強い怒りを覚えます。
「自分の存在、居場所を守る」という防衛本能に忠実なタイプで、それゆえ他人を一方的に操ろうとしたり相容れない相手には偏見や思い込みで決めつけてしまう事も……
時間感覚は「この瞬間」
感情と直感を重んじるこのタイプからすると、時間間隔は「今、この時」にピントが向けられている事が多いです。
しっかりと未来に向けた計画を立てる……まではできるのですが、それを達成した先がぼんやりとしか見えてこないタイプとも言えますね。
タイプ8
タイプ8は、特に「自分の存在」を誇示しようとする本能タイプの在り方が、特にわかりやすく出ているのが特徴。
「強さ」というキーワードを象徴するタイプで、まさに周囲からどれだけ一目置かれているかで自分の存在を計ろうという人たちですね。
思考中枢のタイプ7と隣り合わせなため、本能タイプの中では一番考えるのは得意ですが、そのぶん真反対にある感情中枢に関しては疎く、相手の感情を把握するのにはあまり興味を示しません。
パワーイズベスト。力を誇示して屈服させるスタンダードな覇王タイプで、これが元で人間関係がこじれることも……
タイプ9
タイプ9は本能中枢からかけ離れたような認証を受けますが、実は一番色濃いという不思議なタイプ。
他のグループの持っている感情や思考の中枢を本能中枢で代用しているところがあり、それが原因で本能タイプとは思えない穏やかでおとなしい人物が多いのです。
一方、思考や感情における中枢のどちらとも離れているため、どのタイプよりも「今」を意識しているのが特徴。そのため今の快適さのために「新しい人間関係」、「未来への考察」といったものを避け、これが囚われとして出ることも。
タイプ1
感情中枢と隣り合わせにあり、人の痛みなどに共感する優しさを持っていますが、反面思考中枢とは真逆にあります。
「今をよりよく」といったスタイルを好み、この瞬間をよりよく完璧にするため努力する人ですね。
しかし、この「完璧に」という思いは言うなれば主観。自身はよかれと思ってやっていても結果として客観性を欠くことが多く、偏見に振り回されることで囚われのドツボにはまっていくことも……
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フィーリンググループ「イメージ大事に」
フィーリング……つまり、このタイプは「情緒」と「感覚」を重んじるタイプで、感情中枢を好みます。
このタイプにとって目下重要なのは、人とのかかわり。
いずれのタイプも「人からこう見られたい」「関心を得たい」という願望があり、そんな理想の自分に一歩でも近づこうとしている人たちがこれに該当します。
また、魅力的な人物を演じることにも長けており、意識的か無意識的かを問わず、第一印象は間違いなく他のグループよりも群を抜きます。
しかし、反面「恥」の感情には弱く、特に自分の理想と現実が乖離していることを嫌い、現実に蓋をしてどうにか上手く演じ切ろうとする場面も……。
現実の自分に無価値感を感じていることも多く、「人に好かれる」「いい印象を与える」という事によって相手をコントロールしようとする場合もあります。
時間感覚は「過去」
このグループの目は、基本的に過去に向いています。
屈辱かいい思い出か……それらを知る術もありませんが、とにかく、過去にあった出来事によって今の自分が形成されるのが人間。
このグループは、そんな「過去の自分」が見て感じてきたことの延長線として、理想の自分を夢見、それになり切ろうとするのです。
タイプ2
タイプ2は感情だけでなく本能部分とも近くこの2つを使う事が出来ますが、逆に思考中枢の扱いは苦手です。
主に人間関係的な部分を中心に理想の自分が形成されていることが多く、人との触れ合いをよく知っているからこそ、「人の役に立ちたい」「人から感謝されたい」という考えに行きつくわけですね。
反面、抽象的な考え方は苦手。コミュニティは、そのグループ全体でなく個人個人との狭い付き合いになることが多く、一人一人の力になり、大事な存在になろうとすることが囚われになることが……
タイプ3
タイプ3は感情中枢特化型。とにかく、一番人目を気にするタイプですね。
成功を求める姿勢は自分への期待や母親の喜ぶ顔が元になっていることも多いですが、稀にどん底の屈辱からなるハングリー精神で覚醒するタイプもあるそうな。
キラキラした成功を求めるタイプですが、感情中枢に頼るのみでなかなか深く生きることができず、それが「成功」への貪欲な姿勢や、そのためには自他を顧みない姿勢につながることも。
特に虚栄心が強く「人からどう見られるか」を意識るタイプのため、成功を求める過程で自分の生の感情を見失ってしまう可能性もあります。
タイプ4
タイプ4は、とにかく個性的に見られることが何よりの喜びというタイプですね。
特に傷とか絶望といったドス黒い感情によって自己理想像を形成し、それが「特別な存在」「ロマンチックな生き方」への羨望とそのための努力を生み出します。
感情だけでなく考えることも得意なのですが、それらはオーバーな詩的表現や変わった表現に用いられることが多く、あまり理解されないという悲しみが……
また、「特別に思われたい」という渇望は、それそのものが囚われとなって固執してしまう危険もあります。
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思考グループ「頭の中はいっぱいいっぱい」
思考グループの頭の中はいつもいろんなことで満ち溢れており、とにかく「考えるのをやめたら死ぬ」タイプです。
頭の中をああでもない、こうでもないとこねくり回すたびに楽しくなってテンションが上がるタイプの人も多く、情報や知識を得ることに関してはどのグループよりも貪欲です。
とにかく考えることが何より大事なタイプで、抽象的な知識や概念についてあれこれ考える力に長けているというなかなか恐ろしい人もいます。
……が、これらの知識への渇望は「恐れ」を強く抱いているからこその物であって、知識とはまず不安や恐怖をかき消すためのもの。
不安を払拭して安全を得ることを求めるタイプであり、ストレスを感じやすいわけですね。そうやってストレスを溜め込んだ結果、不眠症になったり堂々巡りで全然前に進めなくなる場面も……
時間感覚は「未来」
このグループにとっての不安は、常に未来に向けての物。
起こりうることを予測し、しっかりとそれへの対策を立てたいと考えているわけですね。
そのため、行動するのが遅かったり早すぎたりと「今ここ」がおざなりになってしまう詰めの甘さが……
タイプ5
タイプ5にとって、世界とは自分には抗しがたい強大な物。安全などないと考えているため、せめて自分の頭の中だけは安全圏として確保しようと考えており、結果として独りでいることや熟慮することに救いを見出します。
また、周囲を余り信用していないため自分の本心や欲求を相手に伝えることが苦手で、感情表現や自然体での気楽な付き合いが苦手な部分もあります。
知識や専門性はピカ1ですがそれでも不安を払拭できず、あれもこれもと役立ちそうなものを収集しまくる事が囚われになってしまう事も……
タイプ6
帰属意識の強いタイプ6は、思考グループゆえの自信のなさや不安がもっともわかりやすく表れているタイプでしょう。
強い指導者や安心できるグループを求めているのは、まさに思考ゆえの「未来への不安」への対抗策なのです。
内外に関心が行ったり来たりするタイプで、自身の能力に不安だからと外界に出て人とつながったり、今度は外界とつながる事での責任や要求に押しつぶされるのではと思って独り立ちしてみたりと、不安に支配されてコロコロ立ち位置を変えるのが、このタイプの二律背反の正体ですね。
しかし不安ゆえに慎重で安易な決断は下さず、また責任感の強いタイプでもあるため、安心できる環境ならば真価を発揮できるかも……
タイプ7
楽しい事好きなタイプ7は一見楽観主義者で別タイプにも見えますが、実は裏では結構いろいろ考えていたりするのです。
実は楽しい計画も陽気で愉快なキャラクターも、すべて自分の中で延々と湧き出る不安を払拭するためのもの。楽しみや好奇心で脳内を満たすことで、必死に不安に蓋をしているのがこのタイプの抱える闇というわけですね。
こう考えると、なんだか楽観思考やナルシズム、自分の考えを押し付ける在り方も闇が深いものに……
とはいえ、その不安から逃げる姿勢は実際に周囲の楽しみや明るい雰囲気を作り出しているのもまた事実。その辺り、このタイプの強みですね。