エニアグラム:心の健全度と囚われ
エニアグラムでは純粋なタイプ別の特徴だけでなく、心の安定性を表す「健全度」によっての性格や行動の変化にも言及されています。
基本的に健全度は数字が小さいほど心は健全に、大きいほど不健全になっていっていますね。
言ってしまえば、健全度というよりは「不健全レベル」のようなものだと思えばよいでしょう。
おもしろいことに、このエニアグラムにおいては、健全度が極端に高いか、あるいは低くなってくると、本来持っている別タイプの側面が顔を出すようになるのです……
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健全度のレベルは9!
エニアグラムにおける健全度は、全部でレベルが9まで。そして、それぞれ3レベルごとに「健全」「通常」「不健全」の3段階に別れます。
どのタイプにも健全度の違いによって性格や対外姿勢などに変化があり、上がれば上がるほど他者に寛容に、逆に下がれば非寛容で常に物事に怯えるようになってきます。
つまり、数字が高くなればなるほど不健全の様相を強く見せるというわけですね。
逆に健全になればなるほど、自身の囚われから解放され、どんどん人間性の度合いが進化していくのです。
人間性が変われば各々のタイプとは別の性格が顔を出すようになり、意外なことに他タイプの長所が浮き彫りになり始めます。
以前別のページで述べた、「性格を変えるのは非効率的」というのは、こういう考え方から述べられた結論なのです。
要するに、「自分がどんなものに囚われ、どう健全度を上げていくことで成長するか」を考えたほうが、よっぽど自然の成り行きに沿った現実的な方法になり得るわけですね。
健全度の差
健全度は、言ってしまえば心の鎧の厚さと重さです。
レベルが低い健全な状態であればあるほど軽装備で足取り軽やかに、レベルが高い不健全な状態に近づくほど重装の臨戦状態になっていくわけですね。
この健全度の差は、主に「育った環境」「今置かれている環境」が大きく影響します。
例えば家族に愛され人生は順風満帆。仕事でも人に必要とされてしっかりとケアされて幸せに生きている……こんな人たちは、自然と自身を愛して受け入れることができ、健全な心が出来上がっていきます。
反面、幼少期にDVを受けて半ば育児放棄に近い環境、その上学校でもいじめられて担任も助けてくれず、社会に出ようにも「イジメられるような無能など必要ない!」とけんもほろろに叩き出され、職にあぶれてさらに後ろ指をさされる……
とまあこんな悲惨な人生を歩んだ人たちは、当然ながら他人に対して心を閉ざし、どんどん健全度は下がっていきます。
たまーに、「自分を愛さない奴に幸せになる資格はない」ってドヤ顔で語る奴っているよな?
それってつまり、「自身を愛せるだけの環境に身を置いた奴はどんどん花開き、そうでない奴は連鎖的に性格も曲がって不幸に落ちていく」ってわけだ。
正直こういうことを言う奴は不幸な輩に追い打ちかけてるみたいで心底気に食わん連中だが、まあこういう見方をすれば言ってること自体は一理あるってわけだな。
でもやっぱり弱ったやつに追い打ちかけるのは外道だ!
……うん、まあ、そういう外道も案外高レベルで心が凝り固まっているからこそ、弱ったやつを攻撃して鬱憤を晴らさないとやっていけないのかもしれませんね。
こんな感じで、自傷他傷現実逃避とタイプごとに傾向は違えど、不健全の度合いが高まり過ぎると大概ロクなことにならなくなるのです。世知辛い!
てなわけで、そんなロクでもない状況を打破するための一歩として、まずは自分の心の健全度を知ると割とすっきりしますし、何となく自分がとるべき打開策や筋道がわかってきますよ。
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各タイプの“囚われ”
エニアグラムには、それぞれのタイプを象徴するものとして「囚われ」というものがあります。
どのタイプもレベルが低ければ低いほどこの「囚われ」から解放されて気持ちが楽になり、逆にレベルが高いほど「囚われ」に縛り付けられて身動きがとりづらくなります。
まあ、この「囚われ」は人や書籍によって「こだわり」や「不安」など色々な言い方がされていますが……まあとにかく、この「囚われ」に基づいて、人間はよくなったりダメになったりすると言われているわけですね。
例えば……日本人に多いと言われるタイプ6を例として見てみましょう。
このタイプにとっての囚われは、不安。つまり、不安定だったり先行きの見えないことに対しては恐怖というか、とてつもなく強い不安を感じやすいわけですね。
タイプ6の特徴としては、「従順である」と同時に「反抗的」と、二律背反な人格だと言われていますが……この根底にあるものこそが不安なのです。
権力者に従順なのは、その方が安心できるから。逆に権力者に逆らう場合は、その人に対しての不安が爆発し不信感を強く感じたから。
また、健全であればしっかりと安定した落ち着きと素晴らしい協調性を発揮する傍ら、不安にさいなまれて健全度が下がるにつれ、今度は傲慢で差別的、他人を蹴落としてでも権力者に取り入ろうとするようになります。
一見矛盾するような行動やあり方にも、根底にはガッチリ根差した「囚われ」があり、これがその人を様々な行動や思想に走らせるわけですね。
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「囚われ」を知れば健全に……
エニアグラムにおける人の成長は、つまるところ「囚われを捨てて自由になる」という事につながります。
囚われというのは、言ってしまえば心のバランスを崩す落とし穴のようなもの。これをきっちり理解して、そのドツボにはまらないようにすることで、、自身の性格はいい方向に向かっていくのです。
囚われというのは、言ってしまえば心の鎧のようなもの。「こうであってはならない」「こうでなくてはならない」といった自分自身の強烈な脅迫観念です。
例えばタイプ6の場合は「完璧で穴のない未来を築かなければならない」というものですね。
この傾向が強まってくると、常に不安に駆り立てられるようになり、些細な事でも「自分を脅かすのではないだろうか」と考え、自身の平穏を乱すであろうマイノリティへの敵対心を強めたり、反発的になったりするわけです。
一方、日本人が「嫌い」と評している(!?)タイプ8の場合は、「弱みを見せれば付け込まれる」という考えの元「強くならなければならない」という強さへの欲望に目覚めることが多いのです。
つまりコワモテな印象や威圧的な態度は、「そうしなければ人は付け込み、自身を傷つけ、一方的な支配を受ける」という強迫観念、一種の人間不信からくる自衛手段なわけですね。
こんな感じで、それぞれのタイプは強い囚われと、それに付随する強迫観念に大なり小なり縛られています。こういった囚われの部分を知ることが、自己成長にもつながっていくわけですね。
↓参考文献↓
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