三十六計:第八計 暗渡陳倉(あんとちんそう)

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三十六計:第八計 暗渡陳倉(あんとちんそう)

 

 

 

言葉の意味

 

 

暗かに陳倉に渡る

 

 

上記の雑なお手製地図からもわかる通り、陳倉というのは、つまり地名です。

 

陽動からの奇襲という意味合いでは声東撃西にも似通っていますが……声東撃西はブラフを使った機密行動なのに対し、こちらは実際の行動によって敵に陽動をかけ、奇襲をよりバレにくくする戦法ですね。

 

 

確実性は増しますが、実際に行動をする分分コストがかかるので、いざという時にしか使えないかも……

 

 

 

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語源・由来

 

 

ちょっともう一回図を出しましょう。

 

この言葉は、上図の元ネタ(というかそのまんま)となる、前漢の名将・韓信(かんしん)の逸話とされています。

 

 

最強の勇将・項羽(こうう)と戦ってボコボコにされて漢中(かんちゅう)に追い詰められた漢の高祖・劉邦(りゅうほう)は、項羽軍の重要拠点である咸陽(かんよう)を攻め落とすことを画策。名将である韓信を総大将に任命し、現状の打開を図りました。

 

 

しかし、漢中から咸陽までの最短ルートは、秦嶺山脈という2000メートル級の山々に囲まれた危険な桟道(吊り橋)。しかも険しい山中の道はろくにメンテナンスされておらず、壊れた箇所を修理しながら進軍する必要があったのです。

 

そこで、韓信は大々的に桟道の補修工事を敢行。当然ながら敵もその情報をキャッチし、桟道から来るであろう韓信を迎え撃とうと陣を張りました。

 

 

……しかし、この敵の迎撃態勢こそが、韓信の待ち望んでいた状況だったのです。

 

 

敵が桟道沿いに防備を固めたのを知った韓信は、密かに秦嶺山脈を回避する迂回ルートを進み、川を渡って陳倉に上陸。そのまま陳倉を占領し、まんまと咸陽攻略の橋頭保を作ったのでした。

 

 

 

 

 

要するに……

 

 

示之以動 利其静而有主 益動而巽

 

之に示すに道を以てし、其の静にして主有るを利す。益は動きて巽う。

 

 

あえて明確に動いてみせて敵に見せつけ、その裏でひそかに目的を達成する。

 

結局、利益は行動によってしか得られません。しかし、付近に敵がいる場合、その利益を得るための行動が妨害によって無効化されるケースもあるわけですね。

 

 

そこで、まずはわかりやすく動いてみせて、敵の意識をそちらに向けさせる。そして、敵がそちらに注意を払うようになれば、その裏でひっそりと本当の目的を達成できるよう行動を起こすのです

 

 

何事も、正攻法での突破に手段が限られているわけではありません。こういった陽動を用いて周囲をあざむいての行動が、争いの場では求められるわけですね。

 

 

 

っても、実際に行動を起こすわけだから、何かのビジネスなんかでやる場合は投資も少なからず必要となる。

 

コストをケチって正攻法ばかり使っていても、逆に殴り合いで消耗が大きくなるわけだが……やはり使う機会はしっかり見極めたいな


 

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ただし……

 

 

 

これは声東撃西にも言えることですが、あからさまな手段を使っても敵は食いついてこないことが多いです。

 

 

1.ブラフとしての行動がある程度以上それっぽい

 

2.真の目的がバレない

 

 

と、この2つをしっかりと守る事が、何よりも大事になります。

 

 

基本的に兵法の類いは騙し合い。謀略も作戦もバレたらおしまいです。これは現在の競争にも同じことが言えるので、やはり作戦を使う以上はバレないよう、それっぽさに注意すべきですね。

 

 

 

こういった陽動作戦も、失敗して逆に痛い目を見たケースはごまんとある。

 

生兵法は怪我のもと、なんていうが……やるからには生半可で妥協せず、徹底したいよな


 

 


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