三十六計:第十一計 順手牽羊(じゅんしゅけんよう)
言葉の意味
手に順いて羊を牽く
殺し合いの戦争には善悪もクソもなく、そこに美学は存在しません。
敵が物資を持っているのなら、隙をついてそれをできるだけ盗む。知らん顔して盗んでしまえば、敵は困るしこっちは潤う。
元々は羊泥棒が言い放った「たまたま近くにあった縄を退いたら羊がついてきたんだ!」という言い訳が語源の順手牽羊は、転じて戦場での非情な略奪や、それをよしとする策を意味する言葉なのです。
スポンサーリンク
要するに……
微隙在所必乗 微利在所必得 少陰 少陽
微隙在るは必ず乗ずる所。微利在るは必ず得る所。少しく陰、少しく陽。
わずかでも隙があれば付け込み、わずかでも利益があるなら奪い取る。
わずかなきっかけで後々大きく展開が変わることもあり、敵の些細な失敗に乗じてじわじわと小さな勝利を得ていけば、そのうち相手の側が音を上げることもあります。
順手牽羊の策は、そんな他人の失敗やちょっとした隙を突いて、物資を横取りしたり優位を確保すための計略です。
そうだね!外道だね!
現代でもどうしようもないクズのくせに滅茶苦茶評価されて高い地位につく奴がいるよな。
そいつらの生き方の秘訣も順手牽羊!他人の隙を突いて手柄を横取りし、失敗を押し付けて上手く立ち回るのがコツってな。
……平時でもこれがまかり通るんだからやってられんわな
スポンサーリンク
引用は外道の所業!しかし……
とまあ、こんなもの、日常的に個人のやり取りでやってる奴がいたら……おめでとう!そいつはもう矯正不可能な腐れ外道です!
とはいえこの手段、どうしてもやむを得ない競争の場においては、なかなかに見どころの有る作戦です。
……まあ、効果のほどは結構わかりやすいですよね。手当たり次第に利益を上げて相手に圧力をかけていくことで、物量作戦を展開する。
ちりも積もれば山になると言いますか……小さな利益の積み重ねによって、油断していた相手がこちらを向き直った時には、すでにこちらが大幅にリードしていた……こんなケースは、古今東西問わず結構あります。
あのマイクロソフトの始祖であるビル・ゲイツも「結局は相手の失敗に付け込んで利益を得ることができたのが、我々にとっての幸いだった」とも語っています。
さすがに相手の失敗をはじめから期待して動くのは確率的にも倫理的にもアレですが……非情な場であればあるほど、火事場泥棒の計略の使いどころは増えていきます。
まあさすがに使うかどうかはその人次第といったところですが、相手もその気になっている場で情けをかけても、結局は後で裏切られるのが関の山。ならば、思い切って失敗に付け込みリードを奪うのも、時として必要な事なのではないでしょうか?