退行と統合
タイプ6の根底には、常に不安感とそれから逃れたい気持ちが強く根付いています。
そんな不安から逃れるため、強者の庇護を求めるのがこのタイプの大きな特徴ですね。
不安への対抗策として集団の一員として生きることを望むタイプ6。彼らは迎合と協調に関してはまさしく達人ですが、同時に不安に対する過敏さから暴挙に出ることも……
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ストレスを感じるとタイプ3へ
もともと迎合的で温和、悪目立ちが嫌いで一心一体が大好きなタイプ6は、集団への帰属意識を強く持っています。
先述の通り、それは未知や未来への不安に対抗するための手段ですね。そのため、味方と認めた者には穏健な態度で接し、間違っても癪に障るようなことをすることはないでしょう。
しかし、同時に排他的でマイノリティや未知、相容れない意見に対して非寛容なのもこのタイプの特徴になります。
聞きなれない言葉、自分たちとはまた異なる正義やアンチテーゼとも言うべき存在、よくわからない人々、奇人変人、新しい事柄…………これらはすべて、タイプ6にとっては和を乱す存在であり、場合によっては敵性の存在にも思えてくるでしょう。
タイプ6にとって大事なものは、今この瞬間の平穏や秩序を維持し、いつまでも同じ状態が続くこと。つまり、変化や激動はすべて心の安寧の敵なのです。
これらに長時間触れていると、タイプ6は大きなストレスや負荷を感じるでしょう。
そして、そうなったときに向かう先は……タイプ3。
保守のために全力を出すタイプ6ですが、それが行き過ぎると完全に仕事中毒となり、今の居場所や平穏が無くなると強く思うほど、その素養は大きくなっていきます。
また、上に取り入られたいという気持ちも悪化。寵愛を得なければいつ切り離されるかわからないため、気に入られようと必死になるわけですね。
結果として、崇拝先を絶対正義と信じて疑わなくなったり、讒言でライバルを蹴落としたり、大きな局面で見栄を張ったり媚びを売ったり、相手を無条件で見下したり……
それらが悪化すると、今度は思想や人格、果ては性別血液型職業と何でも節操なく持ち出して、弱者や少数派をできるだけ大人数で差別迫害し、必死に気を紛らわそうとするようになります。
また、被害者意識や自己憐憫が強まることによって、自分たちの言っていることが理にかなったまったくの正論に見えてしまう事も多いでしょう。
万一これらを否定した人がいれば、全員が口をそろえてこう言うでしょう。
「事実じゃん」
思考や感情が爆発、暴走した結果事実が見えなくなるのはどのタイプにも共通ですが……タイプ6の場合はこんな感じに、攻撃する先はしっかり選び、集団対1の状況を作り出してから攻撃を開始するのですね。
これが日本の恐ろしさである
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統合:タイプ9へ
一方、心が健全になっても、「今この場」を強く意識することは変わりません。
では、何が変わったのかというと……将来の漠然とした不安から目を逸らすのが不健全な時。対して健全なタイプ6は、余計な不安を抱えて考える無意味さを知り、今この場の最善を尽くそうとする。この違いでしょうか。
協調と一体感に重きを置くタイプ6は、素直で謙虚な大器へと変貌します。
異なる価値観や物の見方もしっかりと聞き入れ、理解するだけの度量を身に着けるわけですね。
しかも、もともと備わってある責任感や協調性、勤勉さも失わずそのまま。
責任を全うする真面目さや身内への献身をそのままに、大気と勇気にあふれる人物へと成長していくのです。
また周囲によりかかるのをやめ、自分の中の思いや自信を新たに自らの支えにしていくため、優しさや穏やかさの内に力強さも内包する、非常にバランスの取れた大物になっていくことでしょう。
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統合への道
さて、タイプ9っぽい人物に成長するのがタイプ6とは言え、「それならタイプ9を模倣すればいいのか」と言われれば、答えは否でしょう。
さしあたって、主な留意点は以下の通り。
・余計な不安は頭から取り除くべし!
・物事を決定した際には何を根拠としたかを明白に理解すべし!
・多様性を持つべし!
・他ならぬ自分だけのための時間を持つべし!
まず、タイプ6にとっての一番の鬼門であり必要不可欠な要素は、雑多で余計な不安を頭から排除すること。
「あれもこれも」と想定しうる様々な不安に備えようとしていては、時間はいくらあっても足りません。事実、このタイプはそういった部分に時間を割くあまり行動が後手後手になってしまう事も多いのです。
アレコレと考える前に、まずは現実をしっかりと見ましょう。
「ちゃんと見とるわい!」という方もいらっしゃるでしょうが、まあまずは落ち着いて、雑念を捨てて無心の状態で見据えてみるのです。
常識や普通を人一倍意識するこのタイプにとって、世間は敵しかいないなんて事態は滅多にないでしょう。
思い込みと感覚は似て非なるもの。先入観を捨ててニュートラルにものを見、その上で余計な不安を選定し「杞憂でした」で終わらせてしまうのが、タイプ6にとって最初の関門でしょうね。
ただ、ここを超えれば、後はクリーンな世界が広がっているはず。
正直、割とテキトーでいいのです。ざっと目標への筋道を立て、進んでみて、そして目標を達成出来たらまずは素直に喜ぶようにしてみましょう。
常に不安に苛まれていると、なかなか物事楽しめませんからね。
過ぎたるは及ばざるが如し。
無責任なのは感心しませんが、逆に気負い過ぎても自分がつらくなるだけです。適度にガス抜きし、何も考えず周囲を見てみましょう。
「成長せねば」と自身を急き立てても、ほとんどの場合逆効果です。
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さて、もう一つの関門として、「他人に自身のかじ取りを任せようとしてしまう」という部分も、このタイプの弱点ですね。
強い者や信頼おける者に迎合する姿勢を見せることが多いタイプなので、そのぶん「あの人に全部任せよう」となってしまう事が多いのです。
結果として、傲岸で不健全な状態のタイプ3やタイプ8の意のままに操られ、それを正しいからと多くの人に押し付けるという痛ましい結末を迎えることもしばしば……
自分の人生の決定権は自分自身にあり。
大したことのない自分に大仰な決定ができないと思っている節があるのでしょうが……それこそ思い違いです。
自分の事くらいは誰にだって自分で決める権利はありますし、それだけの能力は備わっているはずですよ。
思い切って自分の本心にしっかり目を向け、明らかに自身と相容れない命令は避けるようにしましょう。
この時、おそらくやかましいくらい活発に脳内会議が発生するでしょうが……構わず自分の本心を明らかにすること。それができれば、もはや一皮むけたも同然です。
後は、「正義ややり方はいつも一つ!」という固定観念を捨て去れ……みたいな感じの物ですね。
ついつい違う意見は徹底排除し、みんな同じ方向、同じプロセスを歩むのを至上としたがってしまうタイプですから、なかなか違う意見との交流の機会を得られない(というか意図的になくしてしまう)のがタイプ6の特徴の一つ。
意外と見方も違う、捉え方も違うという考え方が、逆に役立つことも少なくありません。
呉子兵法にも「君主より優れた意見を出せる者がいないのは亡国の兆し」というような事が書かれていますし、必ずしもみんな一緒がいい結果を生むわけではないのは明白なわけですね。
異論を唱えられて自分の平穏が崩されるのは我慢ならないかもしれませんが……そういう意見を容れることは逆に心の安定に役立つことも多いはずです。
最後に……やはり自分の、自分だけの時間を持つことが1番ですね。集団への迎合、貢献のためにやたらと時間を使い過ぎる傾向があるのがタイプ6の人たちです。
ガーデニングでも釣りでも散歩でも何でもいいです。
とにかく、自分としっかり向き合える静かな時間を作りましょう。
雑念から解放され、頭を空っぽにして興じることのできる趣味の中で、自分の中の何かが見えてくることも多いですよ。
こういった静かな時に見えた物こそが、自身を解き放つための一石になり得るのです。