三十六計:第二十五計 偸梁換柱(とうりょうかんちゅう)

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三十六計:第二十五計 偸梁換柱(とうりょうかんちゅう)

 

 

言葉の意味

 

梁を偸み柱を換う

 

 

早い話が骨抜き作戦です。作戦にしろ組織にしろ、何かしら骨格や基本骨子となっている、絶対に欠かせない要素がどこかにあります。それをどーでもいいような柱……つまりオンボロの使い物にならないものに変えてやれば、敵は自分から崩れてくれるでしょう。

 

あるいは、敵の主力をまったく必要のない場所に釘付けにしとけば戦いが楽になる……という意味合いもありますね。

 

 

いずれにせよ、敵が全力で戦える状態を作らないというのが勝つために必要な立ち回り。偸梁換柱は、まさにそれを訴えた策なのです。

 

 

 

 

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要するに……

 

 

頻更其陣 抽其勁旅 待其自敗 而後乗之

 

頻りに其の陣を更え、其の勁旅を抽き、其の自ら破るるを待ちて、而る後之に乗ず。

 

 

陣形をコロコロ変えたり陽動を用いて敵を撹乱し、敵の主力部隊を骨抜きにする。そして敵が自滅するのを待ってから、それに乗っかかる形で敵を攻める。古代中国の兵法書にある、実際の会戦におけるお手本のような勝ち方ですね。

 

敵の主力を封印できれば、戦う時にグンと楽になります。楽に勝てる状況を作り出すために、まずは主力をどうにか無力化しなさいよというのが、偸梁換柱の策が表す意味合いですね。

 

 

この作戦は敵だけでなく味方を潰すときにも有効な戦法であり、実際に古今東西における大物の失脚劇として実例が多く残っていますが……特に必要に迫られてもない場面で使うと、もれなく人として論外と言わざるを得ない策ではありますね。

 

 

 

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実例:遺書を偽造すれば最強

 

 

 

さしあたって、偸梁換柱の計略がクリーンヒットした実例としては、秦の宦官・趙高(ちょうこう)の遺書偽造が有名どころでしょうか。

 

秦の始皇帝が死去した後、趙高は始皇帝の死を伏せたままに周囲と結託し、始皇帝による「長男を跡取りに」という遺書を破棄。代わりに操縦しやすい始皇帝の末子を後継者とする親書を偽造して無理矢理末子を秦の二代に擁立。

 

その後は長子を「自害を命じる」とする偽の手紙を送り、長子やそれを擁立しようとする勢力を軒並み自害させることで実権を手にしたのです。

 

 

それからは自身が実質的な最高権力者として好き勝手に政治を行いますが……まあ、そのまま反乱を引き起こして秦は滅亡といういかにもな末路を辿っていますね。

 

とまあ趙高の後日談はどうでもいいとして……ともあれ、こういう身分の低い人物がのし上がるとき、最高権力者の認可や威光を味方に付けるというケースは多く見られます。

 

 

現在でも、例えば気に入らないから潰したい相手がいる時なんかは、周囲に悪評をバラまいたり上司に嘘でもいいから讒言をしたりして外堀を埋めると、ターゲットの側は手出しするのも難しいですよね。

 

現在のいじめなんかはまさにこんな感じで、被害者一人が悪であるという構図を作り出す、ある意味で偸梁換柱の応用のような追い詰め方が主流になっているのです。

 

 

最高権力者や絶対のルールなんかを敵に回すと、だいたいの人は案外あっけなく失脚する。道徳性や人格面を疑いたくなるような話ですが、まあ実際特定人物を追い詰めるのにもってこいの策略ですね。

 

 

 

わざわざこんないらん事を書いたのも、作者が何回かこの方法で潰されてきたからこその私怨が半分だからな。

 

実際に有効な分、他人を虫けらくらいにしか思えないクズの類は戸惑いなくこういう事を仕掛けてくる。頭のいい奴なら、知らない間に水面下でな。

 

 

逃げ道か、あるいは絶対に離れない味方か。最低限、このどちらかは用意したうえで集団生活を送りたいな。何が気に食わなくて追い落とされるかなんて、本気で誰にもわからん


 

 

 

 


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