三十六計:第三十五計 連環計(れんかんけい)

  このエントリーをはてなブックマークに追加

三十六計:第三十五計 連環計(れんかんけい)

 

 

言葉の意味

 

 

連環の計

 

 

これまた三国志とかを知ってる人(あと変なところだとファイナルファンタジーとか)だと微妙に馴染みのある言葉ですね。

 

 

連環の計。意味合いを一言で言い表すなら、計略コンボ。二重、三重と多くの計略を仕掛けたり準備をしておき、敵を途切れることのない計略の中に閉じ込めておくという感じですね。

 

 

要は、あの手この手で敵を引っ掻き回す……という意味合いになります。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

要するに……

 

 

将多兵衆 不可以敵 使其自累 以殺其勢

 

将多く兵衆ければ、以て敵すべからず。其をして自ら累れしめ、以て其の勢いを殺ぐ。

 

 

兵も将軍も圧倒的多数の軍勢と真正面から戦っても、勝敗は火を見るより明らか。というわけで、不利な時ほど正攻法以外の方法を考えることが大事になります。

 

数で勝てないなら、敵の勢いを殺ぎ落すことで敵の攻撃を和らげる。孫子によれば「戦いは勢いで決まる」ともあり、敵の士気が一気に下がれば勝機もいずれ見えてくるのです。

 

 

そして、敵を振り回して疲れさせるための効果的な方法が、この連環計。作戦や計略をひとつでなく複数用意して実行することで敵はその対処に追われ、策が成功しても失敗しても相手を振り回すことにつながります。

 

また、策が成功した後にまた別の策を展開することで、計略の効果が一気に高まることもあります。(例:偽の情報で敵を引っ張り出したところで、手薄になった敵の拠点を奪う等)

 

 

 

連環計は現代においての戦略にも通じるところがあり、意識しておいてもよい計略と言えるでしょう。例えば、何かの経営戦略を打ち出したときに、それが成功or失敗したら次はどう動くかなど……敵の有無に関係なく、二手先三手先まで考えておくことでいざという時の助けになってくれます。

 

こうやって作戦の先まで考え、鎖を編むかのように次の手、次の手を考える。実用的ではありますが、どこか芸術的なイメージもありますよね。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

例:赤壁の戦い

 

 

三国志をモデルに小説として作られた三国志演義のお話に、連環計が発動する場面が設けられていますね。もっとも、これは小説による創作のお話なので実例ではありませんが……わかりやすい例なので載せておきます。

 

 

三国志演義には連環の計が2度発動していますが、特に有名なのは西暦208年の赤壁の戦いの時のこと。龐統(ほうとう)という軍師が曹操(そうそう)を罠に嵌めるために偽ってお近づきになりますが……その時に仕掛けた策ですね。

 

龐統は曹操軍の船団に近づくと、「船を鎖で固定しましょう」と提案を持ち掛けます。曹操軍が水上での戦いに不慣れな中で戦艦を運用し、水上戦に苦戦していました。だから船同士をくっつけて水上要塞にすることで、波による揺れや船の操縦というデメリットを解消しようと持ち掛けたものですね。

 

 

龐統からのこの提案は、水上で四苦八苦する曹操軍にとっては渡りに船。さっそく船団は船を鎖で固定してしっかりと接合しますが……上記の通り、これは龐統らの仕組んだ罠でした。

 

疲れた体に鞭打って船を固定し大喜びの曹操軍でしたが、お互いの船が切り離せなくなったところに敵軍から大規模な火攻めに遭い、一気に瓦解。水の上で散々苦しみ、接合作業で疲れ果て、さらに逃げ場のない場所で火計を受けたために、曹操軍は窮地に陥り敗走していったのでした。


  このエントリーをはてなブックマークに追加

トップへ戻る