三十六計:第二十三計 遠交近攻(えんこうきんこう)

  このエントリーをはてなブックマークに追加

三十六計:第二十三計 遠交近攻(えんこうきんこう)

 

 

 

言葉の意味

 

 

遠きと交わり近きを攻める

 

 

要するに、遠くの相手と手を組んで近くの敵を攻撃するという意味ですね。

 

 

 

例えば誰かと同盟を結んで他の誰かと戦う時、手を組む相手はついつい目につきやすい手近な人を選びがちです。

 

しかし、それでは戦う相手にも当然警戒されますし、その分備えもしやすいというもの。しかもこの策が生まれた当時は、領土は切り取り次第。敵国の攻撃は同盟相手との領土の奪い合いでもあったのです。

 

 

遠交近攻の計は、手近な勢力を味方に付けるデメリットを無効化し、同時に相手が予期しない、あるいは対処が難しい方面から同時攻撃を行うための外交戦術です。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

語源・由来

 

 

 

この遠交近攻策を最初に提示した人物は、中国の戦国時代を生きた范雎(はんしょ)という人物。

 

 

当時は戦争によって敵国の領土を切り取り次第というのが基本。奪った領土がそのまま自国のものになるため、近隣の同盟国とはどうしても領土の奪い合いが発生していました。

 

というのも下手に相手に攻撃すると、自国との隣接地帯をすべて同盟戦力に奪われて領土が飛び地になり、統治経営が難しくなるリスクもあったのです。

 

 

范雎はそのデメリットに着目。主君の昭王(しょうおう)に対して「遠くの味方と結べば近隣地帯の領土はわが国で接収でき、今後の展望も見えてきます」と進言。

 

昭王はこの案を採用して遠くの国と同盟を結び、二正面作戦を強いられた敵国の近隣領地を軒並み奪取することに成功したのでした。

 

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

 

要するに……

 

 

 

形禁勢格 利従近取 害以遠隔 上火下沢

 

形禁じて勢い格なれば、利は近くを取るに従い、害は遠隔を以てす。上火下沢なり。

 

 

 

三十六計の他の計略もご覧になった方はもうお気づきかと思いますが、上火下沢は三十六計引用元でおなじみ『周易』のもの。つまり易経から引っ張ってきた占術の言葉ですね。

 

上に火、下に水。要するに違う……転じて背くといった意味合いになります。

 

周易ではその先に「森羅万象は形が違えど通じ合っている」と続いており、ここから「背き合う敵同士でも、同一の目的で通じれば味方」、「敵の敵は味方」という理論だとか何とか。

 

 

 

とまあそこはいいとして……他の文面では、要するに「遠くを攻めて飛び地を経営するのは難しい。まずは近隣領土を奪って拡大するため、遠くの敵と結びなさい」といった旨のことが書かれています。

 

 

まあ、近隣国だったり似たようなことをやっている組織だったりと結んでも、旨味は感じにくいです。というのも、影響圏や分野が被ってしまっていると、どうしても同盟者との間で奪い合いが発生してしまってデメリットが目立ってしまうからです。

 

なので、地理、あるいは業種が多少ズレた集団と結ぶことで、自分たちの影響力やシェアの拡大にも支障をきたすことがなくなるわけですね。

 

 

 

 

敵と食い合って、味方とも食い合って……結局、これが一番もったいない。だって戦いってのはリソースの削り合いだぜ。

 

だったらせめて、食い合わないし裏切るメリットもない味方と結ぶのが賢いってもんだ


 

 

 

 


  このエントリーをはてなブックマークに追加

トップへ戻る