退行と統合
タイプ8は強烈な自我やカリスマの持ち主で、特に迎合上手が多い日本ではリーダーに適したタイプにもなり得るでしょう。
頼もしくも優しい理想のリーダーになるか、はたまた周囲を恐怖に陥れる独裁者になるのかは、まさにその人次第……
今回は、そんな天性のリーダー、タイプ8が暴君に身を落としたときと、真価を発揮した時の姿を見ていきましょう。
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ストレスを感じるとタイプ5へ
タイプ8は元々「自分だけが頼れる存在」と思っている節があり、それが自主性とカリスマ、自我の強さに直結している部分もあります。
そんなことも手伝ってか、タイプ8は特に勝敗や上下関係、人を支配することなどに特に興味を持ちやすいという1面を持っているのです。
そして、向こう見ずなチキンレースを制したり、戦って勝つことにこだわったりするようになり始めます。
敵がいたなら戦い、蹂躙し、勝つ。そして指揮下に加えて、敵だった者を屈服させる。そんな王道のような弱肉強食を好む傾向があるわけですね。
そのため、タイプ8にとっては世の中とはすなわち戦場。勝てば勝つだけ気分が良く、また強くなったという実感がわきやすいのです。
数々の勝利経験と積み重ねてきた敗者の残骸はより強大な自信を生み、より好戦的に。
また、戦いによって健全度が下がると同時に、より高圧的で他人をコントロールしようとあれこれ画策するようになります。
つまり、自分が勝者であり絶対者。そうでなければ自分の部下たちは自身のコントロールを離れ、反逆する恐れもあると考えるわけですね。
しかし、当然ながら勝敗の世界では、必ず勝者と敗者が生まれます。自分の強さを何より重要視するタイプ8にとって、時として味わう敗北は耐えがたい苦痛を生むことがあります。
そんな時に、タイプ8はタイプ5のような兆候を見せ始めるのです。
力押しがかなわなければ、いったん退いて態勢を立て直そうとするわけですね。
情報収集やリベンジマッチに向けた戦略の建て直しのため、自分の内側であれでもないこれでもないと作戦を立てていこうとするわけですね。
当然、一度追い落とされたら最後。元の部下もすべて裏切り者の敵に移ってしまう事も多いでしょうから、人との繋がりを持とうともせず、話しかけられれば喧嘩腰、他人の価値観や理屈は鼻で笑って軽蔑……といった具合に、完全に健全度の低いタイプ5に近づいていくわけです。
それでもどうしようもなくなったら……今度はタイプ8は、感情も表に見せなくなるかもしれません。
世間に対して籠城戦を仕掛け、人との絆や結びつきにも不信感を感じ、殻に閉じこもって何者をも拒んでしまうというわけですね。
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統合:タイプ2へ
健全度が下がれば敵が増えていく一方、健全度が高まれば、今度は人に心を開き、逆に味方が多くなっていきます。
もともとこのタイプの高慢さや敵対心の強さは、それだけ自己防衛本能が強いからと言えるでしょう。つまり、「そんなにいつも自分を守る必要がない」とわかれば、それだけで態度は軟化していきます。
ブレない自分を貫きながらももしっかりと他者を思いやる姿は、まさに健全な状態のタイプ2と被る所も多いのではないでしょうか。
持ち前の統率力と力強さ、思い切りの良さで周囲を牽引しながらも、部下や目下への思いやりは欠かさず、全員で一丸になって問題に取り組むという典型的なリーダーの気風を漂わせるようになります。
周囲への敵愾心が無くなったことから、周りに寛容で器が大きく、また警戒を解いて素直に愛情を表現するようになるため自身の気持ちも楽になっていくのです。
自分の限界と、本当の意味で何をすべきかを明白に理解し、周囲を敵として捉えることをやめたタイプ8は、より傑出した指導者として周囲に崇められることでしょう。
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統合への道
さて、タイプ2に近づくと言ったところで、そのまま模倣して押しつけがましく恩を着せたり媚びへつらったのでは、周囲にも見抜かれますし自分も疲れるだけでしょう。
そこで、何をしたら手早く統合を果たせるかを、少し考えてみましょう。
・孤立感の原因を知るべし!
・素直に話せる相手を見つけるべし!
・たまには周囲に任せてみるのも〇!
タイプ8は人を信じることができないケースも多く、その多くは強烈さも手伝って孤立していることがあります。
まずは、自分がなぜ孤立してしまっているのかを知るのは第一歩となるでしょう。
おおよそ、心理学では「自分の気持ちに正直に触れてみよう」なんてチープな結論でしめていることが多いものですが……実は、タイプ8にとってこの表現こそカギになります。
おおよそ、タイプ8の孤立感の原因は、以下のどれかが関係していることが少なくありません。
・他人を従わせなければという感情
・悲嘆に目もくれないあまりにも強烈な姿勢
・自分中心の価値観
おおよそタイプ8にとって自分の世界とは自分以外が存在しない城のようなもので、それ故に本能のどこかで周囲を敵と認識してしまうところがあるようです。
そのため、何か頼みごとをするときも拒否される可能性を常に考え、自分の事を否定させないために他者を押さえつけようとする部分があります。
そして、当然周囲は敵なわけですから、悲しみや苦痛というものを見せれば付け込まれてしまうという感情も強く持ち、防御のために自分を大きく見せ、自分のマイナス感情には基本的に目を向けようとしない傾向あり。
これにより、他者を寄せ付けない堅固な城にして、周囲の戦意を削ごうと考えているのです。
また、自分しかその場にいないわけですから、判断基準や物事の選定基準も自分となり、「自分にできることが他人に出来ない」という状況が許せない……ということにもつながるのです。
自身のこういった部分を理解し、受け入れてみるのもよいでしょう。それによって、本能ではなく客観的に自分を見、少し冷静になれますよ。
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また、自分という城を守るために自分以外を信じないため、真の友を得られるかどうかが人生のカギになるのも、タイプ8の大きなポイントですね。
弱みを人に話すのは勇気がいることですし、もしかしたら敵に弱点をばらすようにイメージしてしまうかもしれませんが……その姿勢のまま生きていくのは至難の業。やはりブラック企業のように他人を使い捨てるように開き直りでもしない限り、どこかでぽっきりと折れてしまう事でしょう。
どちらにしても、得られるものは悪評か憂鬱感か……いいものではありませんね。
いっそ信頼できる人間に対し、思い切って心を開いて見ると何かが変わるかもしれませんよ。
共に支え合い、自立した友として歩み続けるには、やはり裏切りを予期していては立ち行かないのです。
そして、次が重要ですが……この時、相手の意見をしっかりよく聞きましょう。あなただけが正論で他が間違っている……という事は、滅多にありません。
白黒つけたい気持ちもわかりますが、これも闇堕ち防止の大事な一歩。相手の意見を根元から否定せず、まずは冷静に聞くようにしましょう。
ムカついたら10数える! 感情的に否定してばかりでは、友情関係もなかなか立ち行きません。
……とにかく、自分だけでなく周囲も味方がいることに気づく。そしてそれらにもきちんとした道理や意見があることをしっかりと理解する。
これがしっかりとできるようになれば、もはや立派なリーダーです。