エニアグラムタイプ3:退行と統合

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退行と統合

 

 

 

タイプ3はキラキラしていて、誰もが羨む成功者タイプとして有名ですね。

 

そのため、多くの人がこのタイプにあこがれることもあるのでしょうが……優雅に水面を泳ぐ白鳥も、案外水面下では足で必死にバランスを取り、色々と気を使っているものです。

 

 

タイプ3の生き方は、まさにこれと被ります。完璧で優雅で類稀なる成功者。本人たちは「自分には天賦の才があるから」「成功すべくして成功している」などと言いつつも、しかしその裏では意外と細かいところまで気を使い、イメージアップのため常に周囲に目を光らせているわけですね。

 

 

あえて悪い言い方をすれば、ハリボテの自分像を守るために本物に近づけていくというのがこのタイプの姿なのですが……このハリボテを守り切れるかどうかで、このタイプの運命の分かれ目です。

 

 

 

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ストレスを感じるとタイプ9へ

 

 

 

 

もともと虚栄心と競争心が強いタイプ3にとって、無能や世間に評価されない人間などは最も忌避すべき劣等種です。

 

 

そのため彼らを内心見下しながらも、そうはなるまいと水面下でイメージアップのための努力を重ねるわけですが……不健全化への入り口は、大抵「実は自分は無能でダメな人間なのではないか」と考え始めるところから始まります。

 

 

 

こうなると、虚偽申告や責任転嫁、讒言による追い落としなど、かかるストレスの大きさに応じてどんどん手段を択ばなくなっていきます。

 

 

なまじ社会常識やその場の空気を意識するため、こういった行動がバレることなく、上手く周囲を誤魔化して健全状態に持っていく例も少なくはないのですが……問題は、ハリボテが完全に崩れ去った時。

 

 

 

もはや自己イメージを守り切れなくなってしまったタイプ3は、それまでの自信満々の行動とは逆に、完全に消極的で極端に自信が無くなってしまうのです。

 

 

その結果どうなるか……自己主張をやめ、自分の意見がしっかりある場合にも「周囲に認められないかもしれない」と一種の恐怖に駆られ、その意見を述べなくなります。

 

 

つまり、これまでの「デキる人」という自己イメージが破壊しつくされた結果、自分を見失って必要以上に卑屈になってしまうわけですね

 

 

「容姿醜悪なタイプ3は陰鬱で卑屈」と、どこかで聞いたことがある気がします。

 

 

挫折や周囲からの反発、そしてそこからはじまるセルフイメージの倒壊。周囲の評価とアイデンティティがイコールになりがちなタイプ3にとって、評価されない人間はゴミ同然。当然ながら、自分に対してもそんな感じの思いを抱いているわけです。

 

 

 

結果として、自信だけでなく縋り付いていた虚栄心すら失った結果は、もはや無明荒野とも言うべき場所。

 

普段のテキパキした効率のいい行動やハキハキした受け答えなどできるはずもなく、歯切れの悪い対応や無関心な態度という形で、その落ち込み具合が反映されてしまうわけです。

 

 

当然、その奥底には強烈な自己主張がくすぶっているわけですが……これらは自己改善よりもビッグドリームという名の無謀に向かいがち。実現不可能な夢を筋道も立てずがむしゃらに追い続けるわけですから、上手く行かずに堂々巡りで終わってしまうわけですね。

 

 

 

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統合:タイプ6へ

 

 

 

一方、健全化が進むとタイプ6のような側面を見せるようになってきます。

 

というのも、自尊心を保つ手法が、健全かそうでないかで大きく異なるのですね。

 

 

タイプ3のセルフイメージは、一般的には「自分が自分が」と、良くも悪くも自分本位で、自分だけが認められることで培われていきます。

 

対し、健全になって統合を果たしたタイプ3は、周囲と協力してみんなで目標を達成することに喜びを覚え始めるのです。

 

 

これは、自分の喜びを他者の評価でなく自分の中に見出したことによって、自分への評価で物事を見るのをやめた……というわけですね。

 

 

 

もともと独裁的で他人を顧みることをあまりしないタイプですが、健全化が進むと周囲によく目を配り、無私の気持ちで助け合おうとする内面が出てきます。

 

本当に信頼できる人たちとの、無二であり絶対の信頼関係。それを手に入れることにより、持ちつ持たれつのギブ&テイクな関係を学んでいき、自分では成し得なかった困難に向け、改めて突き進んでいけるのです。

 

 

その姿は、周囲が思い浮かべる理想のリーダー像と重なる部分も多い事でしょう。

 

 

 

 

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統合への道

 

 

 

さて、タイプ6に向かっていくと知ったところで、じゃあタイプ6のようにふるまえばいいのかというとそうでもなく……ただの模倣では上手く行かないのがつらいところ。

 

 

では、どうすればいいのかというと……だいたい、以下のような点を実行していくようになるのではないでしょうか?

 

 

 

・自らが固執する自己イメージ、そして心の深層を理解すべし!

 

・見せかけの自分に寄ってきたのではない、真なる友を見つけるべし!

 

・仕事や成功のための道から離れた、自分のリラックスできる環境を用意すべし!

 

・自分の目標だけでなく、属するチームの一員として自分に何ができるかを考えるべし!

 

 

 

このタイプが真に覚醒するために必要な命題は、「本当に価値のあるもの」です。

 

 

こういう言い方をすると、「勝利、成功、名声。それ以外にあるわけないだろう!」となってしまいがちなのがこのタイプなのですが……意外にも、生きる上で価値があるものはそれだけではありません。

 

 

 

まず何より、深層に眠る自分自身に気づくことが、タイプ3が本当に充足を得る上でまず必要な事項になります。

 

 

自分は何を目指して、どういう時に仮面をかぶって、どういう時に勝とうとするのか。こういう、「自分が何に捉われているのか」という部分を見つめなおし、理解をしていくのが、このタイプの最初にすべきことですね。

 

 

自己イメージや仮面は悪い物ではないのですが、タイプ3はそういった虚構の自分に依存してしまう節があります。こうなってしまうと、自分の中にある理想像に振り回されるあまり、どんどん自分の等身大を見失っていってしまうのです。

 

 

 

 

こうして自分を静かに見つめなおしてみたら、次にするのは、信用できる人物の選定です。

 

もともとキラキラしてることが多いタイプ3は、多くの友人や仲間に囲まれていることが多いでしょう。ですが、その中で弱みや悩みをさらけ出せる人物は何人いますか?

 

 

外面や名声に関係ない真の友の存在は、リラックス下手なタイプ3にとってはかなり重要な要素です。

 

自分をよく見せようと張り詰めるあまり、周囲になかなか心根を話せません。否が応にもポジティブで苦労のないような言葉を発しようとするわけですね。

 

この辺、日本で美徳とされている点でもあり良く褒められますが……個人的には、行き過ぎると人の成長を阻害する要素とも思えてきます。

 

 

まあ私の持論はともかくとして……自己分析を終えた後の命題は、しっかりと弱みを見せられる友人を持つことです。

 

 

 

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後は……リラックスして仕事からも離れられるような時間や場所を作る事。特に「成功に向けて昼夜問わず走り続ける」といった思考や行動の多いタイプなので、その分疲れもフラストレーションも普通の人より溜まりやすいです。

 

一見、動きを止めることで目標の達成が遠のく可能性もありますが……この辺りは長期的視点で見るとわかりやすいですね。

 

 

確かに無理を通せばそれだけ目標への道をどんどん突き進むことはできますが……こういった無理や無茶は後になって効いてきます。

 

1度でも健康を害してしまえば、その分進む足は遅くなり、しかも進めば進むほどどんどん目標達成は難しくなっていきます。

 

 

その結果、最終的に、普通に休むよりもはるかに達成が遅く、しかも労力がかかってしまった。あるいは不可能になってしまった……こんな結末もあり得るわけですね。

 

 

特に何もせずに瞑想してみるとか、あえて何もせずにボーっとすごしてみるとか……こういうのは体を休めるのはもちろん、自分の内面を良く見直すことにもつながるため一石二鳥です。

 

 

常に何かをして目標に近づきたいタイプなため、何もしないのは鬼門かもしれませんね。

 

ですが、難しいのを考慮してもこれは重要な目標です。何もせず、ただ居るだけ。最悪難しいときはこれを唱えてでも、たまにやってみることを強くお勧めします。

 

 

とにかく仕事から離れる時間を取ることが、タイプ3にとってもっとも難しい事であり、同時に最も重要な事です。


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