三十六計 第二計:囲魏救趙(いぎきゅうちょう)

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囲魏救趙(いぎきゅうちょう)

 

言葉の意味

 

魏を囲みて趙を救う

 

 

物事には正面から堂々と立ち向かい、正面突破で勝利を飾るべし!……などという美学を持っている人は時にまぶしくも思えますが、じゃあその人が幸運に頼らなくてもある程度戦えるかというと、答えはノーです。

 

 

上の図では、友軍を救うために敵軍に正面から当たるのではなく、ガラ空きになった敵の拠点を攻撃する一例を示しています。これにより、敵は友軍撃破をあきらめて拠点に戻らなければならなくなるのです。

 

元来は同盟国を救うために敵の本拠地を攻撃する意味なのですが……転じて問題の本質を見極めてより楽に、より自分のペースに近づけて勝利を得る方法を指します。

 

 

 

 

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語源・由来

 

 

 

この話の語源は、『史記』の孫子呉起列伝、その中の、優れた兵法家である孫臏(そんぴん)によって繰り広げられた桂陵(けいりょう)の戦いが元になっています。

 

 

中国における戦国時代のこと。強大な魏(ぎ)の国は、隣国の趙(ちょう)を攻撃。趙はすぐに迎撃軍を出すもあまりに強い魏軍を前に惨敗。首都まで追い詰められ、進退窮まって同盟国の斉(せい)に救援を要請します。

 

こうして斉は救援部隊を名将の孫臏に預けて趙の救援に向かわせますが……なんとこの時、孫臏は見当違いの方向に進軍を開始したのです。

 

孫臏軍の行く先に合ったのは、敵国・魏の都である大梁(たいりょう)。孫臏は敵の本拠地に奇襲攻撃を仕掛けることで、魏軍を包囲から引き剥がして見せたのです。

 

 

一方、趙にトドメを刺すのも諦め、急いで都に急行する魏軍でしたが……戦いの直後の強行軍で疲れ果てて疲労困憊。ダメ押しとばかりに通過地点である桂陵で待ち伏せしていた孫臏の奇襲攻撃を受けて、あっけなく敗れ去ったのでした。

 

 

1.敵の重要な部分を握って振り回す

 

2.敵を利害で動かして、有利な戦場に誘導する

 

 

これこそが、囲魏救趙の語源にして真髄なのです。

 

 

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要するに……

 

 

共敵不如分敵 敵陽不如敵陰

 

敵を共にするは敵を分かつにしかず。敵の陽なるは敵の陰なるにしかず。

 

 

 

敵を一丸にまとめさせるよりは、分断させる方がいい。敵がしっかり備えてある場所よりは、備えのない場所を攻撃するのがいい。

 

 

特に強大なライバルに打ち勝つ必要があるときは、相手の予測を超える必要があります。そのため、意表を突くことで相手を慌てさせたり、相手が全力を一点に集中できないようにすることが効果的な手段になります。

 

 

力任せに戦うより、まずは

 

 

1.相手に全力を出させないこと

 

2.自分で戦う分野を選び、そこに相手を誘導すること

 

 

こういった自分ペースに持ち込む手段を考え、無意味な殴り合いによる消耗を減らすことが、何より安全な勝利につながるのです。

 

 

 

 

絡まった糸をほどくには、力任せよりも、どこが発端になっているかを調べてほどく方がはるかに速い。

 

ライバルだけじゃなく問題を解決するときにも、「どう乗り越えるか」よりまずは「要点は何か」から考えると、よりスピーディーな解決につながるだろうよ


 

 


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