三十六計:第十七計 抛磚引玉(ほうせんいんぎょく)

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三十六計:第十七計 抛磚引玉(ほうせんいんぎょく)

 

 

言葉の意味

 

 

磚を抛げて玉を引く

 

 

煉瓦を投げて輝く宝玉を手に入れる……要するに「海老で鯛を釣る」みたいな意味合いですね。

 

この場合、「相手にとってプラスになるっぽいもので誘いをかけて相手を釣り上げる」みたいな意味合いであり、単に自分の得だけを考えていたのでは失敗の確率の方が高いでしょう。

 

 

単にエビで鯛を釣ろうとするだけでは、やはりなかなか上手いように事は運びません。相手にとってきちんと利益になるか、あるいはそのように見えるよう細工をすることが何より大事なのです。

 

 

 

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要するに……

 

 

類以誘之 撃蒙也

 

類を以って之を誘い、蒙を撃つなり。

 

 

紛らわしい類似品で敵を誘い、混乱したらそこを撃つ。つまり、「これチャンスじゃね?」と相手に思わせて、攻めてきたところを待ち伏せてボコボコにする……みたいなやつですね。

 

基本的に、利益に目がくらんだ人は無防備です。だからこそ、なんとでも付け入る隙ができる……というわけですね。

 

この策は攻城戦ならば調虎離山、陽動ならば暗渡陳倉声東撃西、あるいは瞞天過海というように、他の作戦を実行するための布石にもなります。

 

敵を誘い出して攻撃する……こうして混乱したり隙ができたところで、本来の狙いを取りに行くわけですね。

 

 

だいたい、金持ち相手に仕掛ける株や資産に関する詐欺も、この抛磚引玉の計略を有効活用……もとい悪用した物と言えるでしょう。

 

 

 

ちなみに語源かどうかは不明だが……古代中国歴史書の『春秋左氏伝』にはこんな話がある。

 

 

大国の楚(そ)は絞(こう)という小国を攻めた時、あろうことか敵前の山に非武装の木こりを放って伐採作業をさせた。

 

それまで籠城してやり過ごすつもりでいた絞は、これをチャンスと見て全力で攻撃を開始。まんまと楚に釣り出され、伏兵によって軍が壊滅したんだ。

 

 

ま、これは釣られた絞がまともな判断ができなかったからこその全軍突撃なわけだが……おおよそ抛磚引玉の戦場での実用例はこんな感じだな


 

 

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現在での活用法

 

 

 

おおよそ、現在での引用例として上げられるのは、フロントエンド商法でしょうか?

 

このやり方は、例えば安価なお試し品や無料セミナーなんかでお得を振りまき、そうして信用を得た上でバックエンド……本当に買ってほしい高額商品や有料会員登録につなげていくというやり方ですね。

 

 

とっつきやすく相手に利益の有るもので顧客の心を掴み、そして大きな商売に持っていく……これが、抛磚引玉のひとつの極致と言えるでしょう。

 

 

そもそも我々は知名度のある芸能人なんかではありませんし、一見すると胡散臭い商売に持っていっても買う人はなかなかいません。地位や権威の側面から攻めていくことができない以上、まずは多少の利益に目をつぶって信頼を勝ち取るのも大事なこと。

 

 

 

世の中、ギブ&テイクです。ギブだけで相手を一方的に幸せにしても、その相手からは奴隷扱いされていざとなれば捨てられるのは関の山。逆に取る事だけを考えても、これまた相手は警戒して事は上手く運ばないのです。

 

商売とかの話になってくると、どうしてもお金を得る事ばかりを考えてしまいがちですが……まずは「この人にならお金を払ってもいい」と思われるような信頼を勝ち取ることも考えてみると、何かしらの突破口が開けるかもしれませんね。

 

 


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